Ultra Visionは超音波探傷試験で求められるあらゆる機能を統合したソフトウェアです。超音波探傷試験(UT)における信号データ採取を制御し、リアルタイムでオンライン情報を表示すると共にオフライン解析環境を提供します。
Ultra Visionは、すべてのZETEC製フェーズドアレイUT及び従来型UT装置をコントロールし、それらのUTデータ採取プラットフォーム間において設定条件および採取データを統合できる互換性があります。
Ultra Visionは、UTの効率を向上させる多くの高度なツールも備えています。
UTに最適化されたソフト上の3次元作業環境により、レイトレーシング(主ビーム伝搬経路のシミュレーション)や音響ビームシミュレーション機能を用いた欠陥検出能の事前検討もしくは正しい検査体積範囲の確認が行えます。また、疑わしい指示エコーの明示のために、実際の欠陥指示エコーと検査対象の形状もしくは溶接部に起因するエコーとの判別を補助し、実際の検査データを高度に可視化する機能も提供します。
欠陥サイジング作業をサポートし、検査条件設定および得られた検査結果を広範囲でレポートする機能も備えています。
Ultra Visionは16ビット波高値分解能と最大20GBのデータ容量をサポートし、オンサイトでのUT検査だけではなく調査・研究用途にも理想的なソフトウェアです。
より進んだ利用方法として、ソフトウェア開発キット(SDK)を使用して独自の機能や追加コンポーネントを開発・実装する事ができます。
3次元作業環境と検査条件設定
Ultra Visionの3次元モデル作業機能は、事前に定義された編集可能な部品形状の豊富なデータベースを備えています。また、適切なCADファイル(*.sat)の読込や、マニュアルサーフェスプロファイルツール(試験体形状を型取りした図からモデルを作成)を使用してソフト上にモデルを作成する事ができます。模擬的な入射ビーム(レイトレーシング)に反応する欠陥モデルも付与します。3次元可視化は、より効率的な検査条件の設定に寄与します。
3Dレイトレーシングツールは、試験体内部の超音波(主ビーム)の伝搬経路を3次元的に計算し表示します。経路はモード変換を含む反射および透過状況に応じて変化し、試験体形状に仮定された欠陥と相互作用します。Ultra Visionは最短経路に基づいた反射波の最適な伝搬経路を自動的に見つけることができます。
音響ビームシミュレーションは、1素子プローブ(従来型UTプローブ)、1Dリニアアレイプローブおよび2Dマトリクスアレイプローブを含む、設定されたプローブ条件に沿って生成される音響ビームエネルギー分布を計算・可視化・特徴付することができます。
溶接開先/試験体断面オーバーレイ機能は、CAD図等により事前に正確に定義された溶接線または試験体断面形状を、2次元もしくは3次元的に採取したUTデータに重ね合わせることができます。
Ultra Visionスキャナツールは、試験体上でのスキャナ動作をエミュレートし、検査カバー範囲の確認に役立ちます。
アドヴァンスドフォーカルロウカリキュレータは、フレキシブルアレイプローブを含む1Dアレイプローブや2Dアレイプローブ向けのフェーズドアレイビームの制御だけではなく、TOFD検査等も校正することが可能です。使用するプローブの条件や試験体の構成を3次元表示で確認することにより、条件設定入力値の結果として生じるフォーカルロウ(フェーズドアレイビーム)の妥当性を検証することができます。
キャリブレーションツールを用いて従来UT及びフェーズドアレイUTチャンネルの自動校正(波高値および時間軸)およびTGC(距離振幅補正)の作成を実施します。
高度なデータ解析環境
ボルメトリックダイナミックビューは、トップビュー(C)、サイドビュー(B)、エンドビュー(D)からダイナミックポーラビューおよびセクトリアルスキャンまで、様々なモードのリアルタイム表示を実現します。オーバーレイ、各種情報フィールド、カラーパレット、ソフトウェアゲイン設定などのレイアウトが自由にカスタマイズ可能で、設定を保存できます。
様々な条件で採取された複数のUTデータはボルメトリックマージ機能を用いて1つのデータ(表示)へと統合できます。スキャン分解能に応じた各々のポイントにおける最大波高値を保持しながら新たなデータグループ(チャンネル)を生成し、3次元表示もサポートします。
3次元データ可視化機能で、採取したUTデータ(A-Scan)は3次元試験体モデルにプロットされ、正確な相対欠陥位置の関係を空間に表現します。C-Scanツールの中の3次元プロット機能を用いると、3Dビュー上にゲートを用いて作成されたC-Scanデータを可視化することが可能になり、より良い解析環境を整えることができます。
解析アシスト機能により、ユーザが定義するSN比や最小欠陥サイズ等の基準に応じて自動的に指示を検出する機能です。また、フリーフォームコンターツールを用いて矩形枠に限定されない自由形状で指示を囲む事ができます。
インディケーションテーブルは、欠陥指示のリスト作成を手助けします。各項目で指示に関する情報(サイズ、振幅、位置など)を定義したデータセットを選択し、それらのステータスを割り当てる事が可能です。また、スクリーンショットを添付したレポートを作成する事も可能です。
レポート作成機能を使用し、検査条件設定やインディケーションテーブルに抽出された情報を含んだ、検査要求に応じた報告書を作成する事ができます。
ヒステリシス補正、形状エコー除去、ロガリズミック/リニアスケール変換、およびメディアンフィルタリングなどの高度な信号処理は、信号品質の向上と検査結果の最適化に役立つツールの一部です。
広い面積を検査する場合、検査データは異なるデータファイルとして分割させることがありますが、データスティチング機能を用いて1つのデータに集約する事が可能です。
ゲート利用時、その範囲内の最大波高値に応じて閾値を自動的に変化させるオートクロッシングモードを適用できます。
より進んだ利用方法
DYNARAYを利用した場合Ultra Visionは、全ての素子が連続的に単一励振素子および受信素子として働きA-Scanのデータマトリクスを生成するフルマトリクスキャプチャ(FMC)データ採取をサポートします。トータルフォーカシングメソッド(TFM)はこのFMCのデータを元に、指定される体積範囲の各々のポイントに完全に焦点を合わせた画像を生成する処理を実行します。
DGSツールは、各々の対象となる試験体形状とプローブ条件の組み合わせに応じて任意のDGS曲線を作成します。このDGS曲線はビーム拡散と減衰の効果を加味したものです。カスタムフェーズドアレイプローブを用いた長距離伝搬アプリケーション等に適用でき、検出した指示の等価欠陥直径を自動的に評価します。
タイムリバーサル機能は、データ採取中に試験体表面の幾何学的な変動を動的に保証するために利用する順応型ビームフォーカシング処理です。この技術を適用した場合、ビームフォーミングに用いるディレイ値は従来のフェーズドアレイ法とは異なり固定されず、表面形状の変化に応じて自動的に調整・適用されます。この動的な保証技術により、部品形状に追従するための補足的なメカニカルなプローブ操作を要求することなく検査を実施する事ができます。
柔軟性
Ultra Vision タッチ | Ultra Vision クラシック | |||||
Viewer | Basic | ADV | Basic | ADV | 3D | |
検査条件設定 ~試験体形状~ | ||||||
収録された試験体形状の読込・編集:平板、パイプ/溶接線(V、X、特殊V、J及びK) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
DXFファイルを用いたオーバーレイの設定 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
3次元CADファイルの読込(SAT、型取りした図からの3次元モデルの作成) | ✓ | |||||
収録された複雑形状試験体の読込・編集:差込パイプ、ノズル、T・L・十字継手 | ✓ | |||||
3Dレイトレーシング機能を用いた模擬欠陥からの反射経路予測、屈折角の最適化機能 | ✓ | |||||
スキャナエミュレーションツール | ✓ | |||||
サドル溶接継手の自動スキュー角補正機能(胴部ノズル等) | ✓ | |||||
ウェッジ下の水ギャップ補正ツール | ✓ | |||||
検査条件設定 ~フォーカルロウ設定~ | ||||||
プローブ、ウェッジ、試験体材質データベース、他社製モデルを含む拡張プローブデータベースのサポート | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
1Dリニアアレイ設定 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
2Dマトリクスアレイ設定 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||
.xlmファイルを用いた特殊アレイプローブの設定 | ✓ | ✓ | ||||
フレキシブル1Dおよび2Dマトリクスアレイおよび特殊表面形状ウェッジの設定 | ✓ | |||||
全エレメントの個別アクティベーション | ✓ | ✓ | ✓ | |||
従来TOFD法、PAパルスエコー法、PA2探触子法 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
セルフタンデムPA、タンデムPA | ✓ | ✓ | ✓ | |||
セクトリアルスキャン、リニアスキャン、コンパウンドスキャン | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
DDF(ダイナミックデプスフォーカシング) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||
音響ビームシミュレーション:平板、パイプ/1D、2D、カスタムアレイプローブ | ✓ | ✓ | ||||
音響ビームシミュレーション:複雑形状 | ✓ | |||||
DGS曲線シミュレーション:従来UT、1D・2D・カスタムアレイプローブ/平板、パイプ | ✓ | ✓ | ||||
データ採取 ~セットアップ作成、校正、スキャン設定、データ収録~ | ||||||
ビュー:A-Scan、アンコレクテッド B、C、D-Scan、ボリュームコレクテッド B、C、D-Scan、TOFD、AMP & POS C-Scan、セクトリアル、リアルタイムマージ、FFT | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
自己診断機能:TOPAZ、ZIRCON、Quartz、DYNARAY | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
ホーミングゲート、オートクロッシングゲート | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
TGC曲線 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
DGS曲線 | ✓ | ✓ | ||||
推奨設定機能:溶接検査、腐食検査 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
校正ツール:エンコーダ、TOFD、PA ウェッジディレイ、センシティビティ、TCG、エレメントチェック | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
スキャン方式:フリーラン、内部クロック、ワンラインスキャン、ラフタスキャン、ペイントブラシ(TOPAZ or ZIRCON) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
スキャン方式:ヘリ恋樽、ポーラー | ✓ | ✓ | ✓ | |||
データファイルサイズ最大20GB(PC使用) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
FMC、エレメンタリーA-Scan採取(DYNARAY) | ✓ | ✓ | ||||
ポジションディペンダントフォーカルロウ(DYNARAY) | ✓ | |||||
ファイヤリングシーケンサー | ✓ | ✓ | ✓ | |||
タイムリバーサル機能(TOPAZ64、TOPAZ32、ZIRCON、Quartz) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||
データ解析 ~ビュー、データ処理、解析ツール、ファイル管理、報告書作成~ | ||||||
ビュー:A、B、C、D-Scan、アンコレクテッド/ボリュームこれくてっど、TOFD、FFT、マージ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
スライスカーソル、従来計測ツール(計測カーソル、コンター)、インフォメーションフィールド | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
各種パラメータの確認 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
コンターで指定した範囲の自動波高値ドロップサイジングツール | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
フリーフォームコンターツール | ✓ | ✓ | ✓ | |||
TOFD処理:ラテラル波シンクロ内ゼーション、ラテラル波除去、SAFT | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
ボルメトリックマージ処理 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
解析アシストツール | ✓ | ✓ | ||||
3Dデータマージおよびプロット機能(平板、パイプ) | ✓ | ✓ | ||||
3Dデータマージおよびプロット機能(複雑形状) | ✓ | |||||
FMCデータを用いたオフラインでのフォーカルロウ適用 | ✓ | ✓ | ||||
FMCデータを用いたTFMアルゴリズムの利用 | ✓ | ✓ | ||||
採取データのテキストおよびExcelファイルへの書き出し | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
スリーんキャプチャ、インディケーションテーブル、インディケーションテーブルのテキスト変換、報告書作成ツール | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
データの信頼性と保護
お電話でのご依頼・お問い合わせ
TEL.06-6101-1013
受付時間 9:00 ~ 17:45 (土日・祝日は除く)